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御義口伝を学習するにあたって、法華経の原典を大雑把にとらえておくことは非常に重要なので、ここに法華経の要点をまとめておきます。 ただし、文上読みです。
文上読みということは、物語性が多分に含まれているということです。 このことを忘れてこのコーナーを読まないでください。 理解しやすく、また読みやすくするため、所々にたいへん卑俗な言葉が使われてます。 了解した上でお読みください。 |
序品第一 [瑞相] 大地が振動し、空から金や銀の砂が降り、音楽が聞こえる。 [白毫から光] 釈尊が瞑想から目を覚まして、額の巻き毛(白毫)から光を出し、仏界から地獄界までの様子を映画のように映し出す。 [弥勒の質問] 白毫の光を見た弥勒が文殊に質問する。 弥勒菩薩: 「文殊さん、なにコレ?」 文殊師利菩薩: 「こいつは大変だ。 釈尊は亡くなる前の最後の教えとして、これから最高の説教を始めようとしているんだ。 」 方便品第二 [無問自説] 釈尊: 「この宇宙と生命の真理はあまりにも深く、むっちゃくちゃ難しいんだぞ。 舎利弗、お前にゃムリだな。 でもちょっとだけネタバラシするよ。 この世のすべてのものは十如是を具えてるんだ。 諸法実相ってやつだ。 はい、お話はここまで。 」 [三止三請] 舎利弗: 「そこまで話しといてそりゃないでしょ。 説法してください」 釈尊: 「やだ」 舎利弗: 「そんなこといわずに」 釈尊: 「やだ」 舎利弗: 「たのみますよぉ」 と、3回請う。 釈尊: 「よし、そこまで言うなら」 [五千起去] 釈尊: 「これから始める教えこそが最高で、今までのは、ここに至る準備だった。 」 と釈尊が話すと、「そんなアホな、オレたちはじゅうぶん修行して、もうとっくに悟ってる」 と、五千人の増上慢がその場を去る。 釈尊: 「よし、これで邪魔者はいなくなった」 [上根声聞向け正説] 舎利弗(上根声聞)向けに、一念三千を説く。 開示悟入・開三顕一 譬喩品第三 [舎利弗の領解と述成、授記] 舎利弗: 「釈尊、よく分かりました」 釈尊: 「よしよし」 [三車火宅の譬え] 舎利弗: 「すみませんが釈尊、みんなにも分かるように説明してもらえますか?」 と請うと、 釈尊: 「よし、では譬え話で」 と、中根の声聞(迦葉、迦旃延、須菩提、目連)向けに三車火宅の譬え話で説法をする。 信解品第四 [迦葉の領解] 迦葉: 私たちも理解することができました。 ありがとうございます。 迦葉が、釈尊の説法の感動を詩で表現、披露。 [長者窮子の譬え] さらに迦葉は、釈尊の説法の感動を譬喩で表現、披露。 薬草喩品第五 [三草二木の譬え] 釈尊: 「よしよし、中根の衆生も理解できたようだな。 」 と、ここでもう一つ譬え話(三草二木の譬え)をして、仏法の功徳は衆生に平等に降り注ぐことを説明。 授記品第六 [中根の声聞に授記] 釈尊: 「よしよし、迦葉、迦旃延、須菩提、目連の4人も良くできたようなので、授記を与えよう。 」 4人の中根の声聞 (迦葉、迦旃延、須菩提、目連) に授記、しっかり弘教しろよと励ます。 化城喩品第七 [大通智勝仏と十六王子] 釈尊: 「ここでちょっと、私の過去世の話をしよう。 私は過去に、大通智勝仏という王の十六人の王子の一人だったことがある。 末っ子だった。 私たち兄弟も、父に倣って仏道修行したものだ。 そのとき、私に化導されたのが、今現在の在世の衆生たちなんだよ。 信じられるかい?」 と明かされ、種熟脱の三益が説かれる。 [化城宝処の譬え] 釈尊: 「修行は長く厳しい旅ようなもんだ。 たまには息抜きも必要だよな。 厳しすぎればついてこれないだろう、うまく手加減しながらやってんだぞ。 さぁ、法華経もいよいよこれから佳境に入っていくぞ。 もう少しだ。 頑張れ! 」 五百弟子受記品第八 [一切の声聞への授記] 富楼那への授記。 阿橋陳如などの五百人への授記。 方便品で退座した5000人への授記。 [貧人繋珠(衣裏珠)の譬え] 阿橋陳如: 「私たちにも授記してもらえるなんて光栄です。 我々にも仏種はあるのですね。 この感動を譬え話でお話しします。 」 阿橋陳如が貧人繋珠の譬えを披露。 自身の内に仏界があることに気がつかない凡夫を譬える。 授学無学人記品第九 [親族への授記] 釈尊: 「阿難(釈尊の甥)よ、おまえは美男子で女タラシだが、おまえも成仏できる。 授記を与えよう。 羅喉羅(釈尊の実子)よ、もちろんお前もだ。 」 と、阿難(釈尊の甥)と、釈尊が王子だった時の息子の羅喉羅に授記。 学のある者、無い者、ひっくるめて2000人にも授記。 法師品第十 [弘教のススメ] 釈尊: 「悪世で法華経弘教と五種の妙行(受持・読・誦・解説・書写)をしなさい。 頑張れば大変な功徳があるぞ。 でも辛いぞ。 悪口を言われたりもすれぞ。 」 弘教の大変さを語る。 猶多怨嫉・況滅度後 [薬王菩薩の質問] 薬王菩薩: 「それでも頑張ります。 弘教のコツを教えてください。 」 [衣座室の三軌] 弘通の方軌として衣座室を説く。 釈尊: 「如来の部屋に入り、如来の服を着て如来の座に座って、法華経を説きなさい。 」 見宝塔品第十一 [宝塔出現] いきなり地中からドーンと巨大な塔が出現。 デカいだけじゃなくて大変美しい。 出てきた勢いでそのまま宙に浮いている。 塔の中から聞こえる声: 「どーも釈尊、おっかれちゃんです。 ここでも法華経を説いてるんですね。 説法を聞いてる皆さん、この釈尊の説法はすべて真実です。 私が保証します。 」 [大楽説菩薩の質問] 大楽説菩薩: 「釈尊、こりゃ一体どういう事ですか? あの声の主は誰ですか?」 釈尊: 「あれは私のお友達の多宝如来さんだよ。 私が法華経を説く所にいちいちやってきて、私の説法をフォローしてくれる頼もしいヤツさ。 」 聴衆は、多宝如来を見たいと言い出す。 釈尊もそれに応えたいが、宝塔の扉を開けるには、十方から諸仏がやってきて宝塔を囲ってやらなきゃいけないので、十方から諸仏をわんさと招集する。(三変土田) [開塔] そこらじゅうが十方の諸仏で一杯になったところで、釈尊は宝塔の扉の所まで空中を飛んでいく。 大音声とともに扉が開けられ、釈尊は多宝如来と挨拶する。 釈尊: 「やぁ、どうも。 」 多宝如来: 「やぁ、どうも。 さぁさぁここにお座りなさい。 」 釈尊(釈迦仏)と多宝如来(多宝仏)が半座を分けて並座する。 [虚空会の始まり] 聴衆が指を咥えてみていると、釈尊は神通力ですべての聴衆を宙に浮かばせ、見える高さまで連れてくる。 虚空会の始まり。 [滅後の弘教のススメ・六難九易] 釈尊: 「いきなりこんな事言うのはアレだが....、私はもうすぐ死ぬ。 私が死んだ後の弘教すると誓える者はおるか? 言っとくが、これは難しいぞぉ。 ムッチャクチャ大変だぞ。 片手で山を投げたり、地球を片足で蹴っ飛ばしたり、薪を背負ったまま火の中に飛び込んだりするよりもはるかに難しい。 できるかな? いまこそ大願を起こしなさい。 」(三箇の鳳詔) 堤婆達多品第十二 [堤婆達多への記別] 釈尊: 「さてみんな、堤婆達多のことは知っているな。 彼は今世では五逆罪をやって地獄行きになってしまったが、彼は実は、過去世では私の師匠だったんだよ。 私は過去世で王だったことがある。 しかし法華経を聞きたいばっかりに、王の位を捨てて、法華経を知っている仙人のところで懸命に仕えた。 その仙人が、今世の堤婆達多だ。 私は彼の飯の支度から水くみや薪拾い、四つん這いになって彼の椅子代わりまでやったんだぞ。 いいか? いま私が仏になれたのは彼のおかげだ。 だから、堤婆達多だって成仏できるんだよ。 」 [龍女の成仏] 釈尊: 「竜宮で説法している文殊師利菩薩よ、戻ってらっしゃい。 」 文殊師利菩薩: 「はい、ただいま。 」 智積菩薩: 「文殊さん、あんたすごいね。 竜宮で説法してたの?」 文殊師利菩薩: 「はい」 智積菩薩: 「何の説法?」 文殊師利菩薩: 「もちろん法華経です。 これに限ります。 」 智積菩薩: 「おおっ。 で? キミの説法で悟りを開いた人は?」 文殊師利菩薩: 「竜女ちゃんです」 智積菩薩: 「竜女? あいつは女だよ。 しかも竜じゃん。 竜だよ。 竜! 動物じゃん。 しかも8歳。 まだ子供じゃん。 ムリムリ。 成仏なんかできっこないよ」 そこへ竜女が登場。 竜女: 「文殊さんのおっしゃる通り。 私は成仏しました」 智積菩薩: 「ちょっとキミ、何言ってんの.....」 智積の言葉をさえぎって、竜女が三行半の偈を誦する。 舎利弗がヨコから口をはさむ。 舎利弗: 「あのねぇ竜女ちゃん。 成仏っていうのは、長期にわたって辛くて大変な修行を積んで、初めてできるものなんだヨ。 わかった?」 舎利弗を無視して竜女が釈尊に宝珠を手渡す。 釈尊がこれをしっかりと受け取る。 竜女: 「ほら、この通り。 成仏は「信」という宝珠をもってすれば、一瞬なのです」(即身成仏) 舎利弗: 「....女性が、畜生が、子供が成仏....。 しかも即身成仏。 すごい!」 勧持品第十三 [母と妻への授記] 竜女が成仏した流れを受けて、女性である釈尊の養母(摩訶波闍波提比丘尼)と昔の妻(耶輸陀羅比丘尼)への授記。 [弘教の誓願] 宝塔品での三箇の鳳詔に応えて弘教の誓願をする。 2万の菩薩たちは此土の弘教を誓い、娑婆での弘教の辛さにビビッた声聞たちは他土の弘教を誓願する。 [勧持品二十行の偈] 滅後に弘教することの難しさと、それに立ち向かって弘教する決意を詩で表現。 (三類の強敵、我不愛身命) 安楽行品第十四 [文殊の質問] 文殊師利菩薩: 「あのー、滅後の弘教が大変だということはよく分かりましたが、でも、みんな誓ったと言いながらも、かなりビビッているようです。 滅後の世界でも、少しでも安楽に弘教できる方法はないものでしょうか?」 [四安楽行を示す] 文殊の質問に答えて四安楽行を示す。 (身・口・意・誓願) [髻中明珠の譬え] 最後の教えである法華経こそが最高の教えであることを譬え話で示す。 従地涌出品第十五 [菩薩の誓願] 他土から来ていた菩薩たち(文殊、弥勒、普賢、薬王など)もいよいよ堪りかねて、釈尊に滅後の弘教を誓願する。 釈尊: 「ごくろうさん。 でも君たちである必要はない。 」 (如来不許) [地湧の菩薩が登場] 大地が激しく振動して割れ、そこから何千億もの菩薩が現れる。 それらの菩薩の上首である四人の菩薩(上行・無辺行・浄行・安立行)が代表して釈尊に挨拶する。 上行菩薩: 「お疲れ様です。 釈尊。 」 釈尊: 「やあ、来たね。 」 [弥勒の疑問] 弥勒菩薩: 「釈尊、この人たちは誰ですか? いつ、誰に修行を受けてこんなに立派になったのですか?」 釈尊: 「よくぞ聞いてくれた弥勒。 お前なかなかいいぞ。 実はな、この菩薩たちはみんな私の弟子だ。 」 弥勒はますます混乱する。 弥勒菩薩: 「私たちは昔から釈尊に付き添って修行してきましたが、こんな人たちは見たことがありません。 マジで誰ですか? 時間の限られた人生の中で、こんなに大勢の人を修行させることなど、どう考えても不可能じゃないですか?」 他の聴衆たち: 「まったくだ。 弥勒の言う通りだ。 おかしいじゃないか。 一体どうなってんだ?」 (動執生疑) 如来寿量品第十六 [三誡三信] 釈尊: 「これから弥勒の質問に応えて大事な話をする。 準備はよいか?」 菩薩たち: 「はい。 よろしくお願いします。 」 釈尊: 「私が何を言っても、お前たち、ちゃんと信じるか?」 菩薩たち: 「もちろんです。 お願いします。 」 釈尊: 「本当か?」 菩薩たち: 「本当です。 お願いします。 」 釈尊: 「よし、いい覚悟だ。 よく聞けよ。 」 菩薩たち: 「お願いします。 」 [開近顕遠] 釈尊が久遠実成を明かす。 釈尊: 「お前たちは、私が出家してから菩提樹の下で悟りを開いて仏になったと思い込んでいるだろうが、それは違う。 私は今世に生まれてくるよりずっと以前に成仏して、何回も何回も生まれ変わって多くの人を修行してきた。 今ここにいる地湧の菩薩たちも、私が育てた弟子たちだ。 」 大地を磨り潰して砂粒にしときの、砂粒の数に等しい回数生まれ変わりを繰り返してきたことを話し、要するに生命は無始無終であることを明かし、始成正覚を否定する。 釈尊: 「いいかみんな。 人間は死ぬ。 人間に限らず生きものは必ず死ぬ。 私だけが仏だからといって、ずっと生きていれば、みんな安心してぜんぜん修行しなくなるだろう。 だから私も死ぬ。 いなくなることで、私ではなく法を求める心を起こさせるわけだ。 そうやってうまく多くの菩薩たちを化導してきたんだよ。 」 法華経以前の経々が、ここに至るための準備であり、ただの方便であったことを明かし、生命は無始無終であること、その生命はすべて仏種をもっていることを明かす。 [三妙合論] 仏が@いつ、Aどこで、B何の修行で成仏したかを明かす。 @久遠の昔に(50年前ではなく)、Aこの娑婆世界で(西方極楽ではなく)、B南無妙法蓮華経によって(灰身滅智の修行ではなく)成仏したことが明かされる。 [良医病子の譬え] 謗法に冒されて本心を失っている衆生が、薬(=南無妙法蓮華経)によって本心を取り戻すことを譬え話で示す。 [自我偈] この品の教説をまとめて詩で示す。 分別功徳品第十七 [菩薩への授記] 釈尊: 「菩薩たちも仏の寿命が無始無終であることが分かったようなので、授記を与えよう」 [四信五品] 法華経を信じて弘教することの功徳について、在世の四信と滅後の五品があることを示す。 @一念信解、A略解信解、B広為他説、C深信観成・・・・・四信 @初随喜品、A読誦品、B説法品、C兼行六度、D正行六度・・・・・五品 随喜功徳品第十八 [一念隋喜] 一念隋喜の功徳を説いて、説法を聞いて歓喜し、弘通する人の功徳には出家も在家も区別がないことを説明し、滅後の弘教を進める。 [五十展転] 仏法が人から人へと伝え渡り、50人目まで達した人の功徳もまた計り知れないことを説き、滅後の弘教を進める。 法師功徳品第十九 [六根清浄] 滅後に五種の妙行(受持、読、誦、解説、書写)を行う者は六根清浄の功徳を受けることができると説いて滅後の法華経の弘通を勧める。 (六根=眼根、耳根、鼻根、舌根、身根、意根) 常不軽菩薩品第二十 [得大勢菩薩へのよびかけ] 釈尊: 「得大勢菩薩よ、お前も立派な菩薩になったから、私の話を理解できないほどアホではあるまい。 お前にちょっと言いたいことがある。 みんなもよく聞け。 」 [不軽菩薩] 不軽菩薩の故事を挙げる。 釈尊: 「昔、人を見るたびに 『あなたにも仏種があります。 尊いことです』 と言って礼拝して回る菩薩がした。 みな気味悪がったりバカにて石を投げつけたり、棒でひっぱたいたりしたが、「人を軽んじない」ことから常不軽菩薩と呼ばれた。 しかし不軽菩薩はこの礼拝行の功徳で、ついには成仏できたのだ。 」 [不軽菩薩の因縁を明かす] 釈尊: 「よいか? この不軽菩薩は実は私の過去世だ。 そして、不軽菩薩をバカにしたのは得大勢菩薩、お前たちの過去世だ。 不軽菩薩をバカにした連中はその罪で長い間阿鼻地獄に墜ちたが、かえって、この時の因縁によって、いまここで法華経を聞くことができるのだよ。 因縁っちゅうのはそういうもんさ。 」 如来神力品第二十一 [仏現神力] 地涌の菩薩たち: 「釈尊よ、仏滅後には、私達が法華経を弘めることを誓います。 」 その言葉を聞くと、釈尊はその場で神通力を披露し、法華経の功徳の大きさを表現する (正現神力) 神通力を見て驚く聴衆に向けて釈尊は、 釈尊: 「びっくりしている場合じゃないぞ。 法華経の功徳は、こんな神通力なんか屁でもないくらいすごいんだ。 法華経の通りにしっかり修行しなさい。 」 嘱累品第二十二 [地涌の菩薩への付嘱] 如来神力品での地涌の菩薩たちの誓に応じ、釈尊は地涌の菩薩たちに滅後の広宣流布を委嘱する。 釈尊: 「よしゃっ、滅後の広宣流布はお前たちに任せたぞ 」 釈尊が地涌の菩薩たちの頭を3度撫で撫でする。(三摩) 地涌の菩薩たち: 「どうぞ任せてください。釈尊はどうかご心配なさらぬよう。 」 [虚空会の儀式の閉会] 釈尊: 「よし、これで安心だ。これをもって虚空会の儀式は終わりにしよう。 多宝如来殿、立ち会っていただいてありがとう。 地涌の菩薩たち諸君も、元の持ち場に戻って広宣流布を開始してくれたまえ 」 多宝如来、地涌の菩薩をはじめ他土の仏菩薩がそれぞれの世界に帰ってゆき、虚空会が終了する。 薬王菩薩本事品第二十三 [宿王華菩薩の質問] 虚空会を終えて霊鷲山へ戻ってきたとき、まず宿王華菩薩が、薬王菩薩を指さして釈尊に質問した。 宿王華菩薩: 「釈尊、私は薬王菩薩さんを同じ菩薩仲間として尊敬してます。 彼がどうやって、こんなに素晴らしい菩薩になれたのか教えてくれませんか? 」 釈尊: 「ほー。 なかなかお前もいい質問をするじゃないか。 よし、薬王菩薩の過去世の話をしてやろう。 」 [薬王菩薩の過去世での修行] 釈尊: 「大昔、日月灯明如来という仏が法華経を説いていた。 それを聞いて歓喜した弟子の一人に一切衆生喜見菩薩という菩薩がいた。 この一切衆生喜見菩薩が薬王菩薩の過去世だ。 一切衆生喜見菩薩は、日月灯明如来への供養として、香油をがぶ飲みした上に、体じゅうにも香油を塗りまくって火をつけた。 焼身供養だ。 よく燃えたぞ。 火の明るさと香油の香りを供養したわけだ。 その火は2000年間も燃え続けた。 そして一切衆生喜見菩薩は再び日月灯明如来のもとに生まれてきたんだぞ。 しかもな、またもや同じように香油で体を燃やして供養したんだ。 そうした功徳が重なって、いま薬王はこんなに立派になって、お前たちと一緒に法華経を聞いているんだ。 どうだ? 彼の供養の仕方はムチャクチャだろ。 お前、真似すんなよ。 法華経を弘める功徳のほうが、焼身供養なんぞよりはるかに功徳があるんだ。 」 宿王華菩薩: 「わかりました。 ありがとうございました。 」 釈尊: 「よしよし、お前にも付嘱する。 がんばれよ。 」 妙音菩薩品第二十四 [仏放光召妙言] 釈尊: 「ここでもう一人、私の説法を助ける助っ人を紹介しよう。 もうすぐ来ると思うんだけどな.... 」 釈尊が頭のてっぺんから光を放ち、浄華宿王智如来がいる世界の様子を映画のように映しだす。そこに映ったのは、浄華宿王智如来の前で膝をついて懇願する妙音菩薩の姿。 (妙音菩薩): 「どうか娑婆世界に行かせてください。 文殊さんや薬王さんたちと一緒に法華経を聞いて歓喜したいんです。 」 (浄華宿王智如来): 「よしよし、行ってもよいが、その代わり、娑婆世界の人たちをバカにしてはならんぞ。 」 (妙音菩薩): 「やった! ありがとうございます。 行ってきまーす! 」 ここまでの様子が映し出されると、蓮華の花が空からヒラヒラと降ってきた。 文殊師利菩薩: 「釈尊、なんだか蓮華の花びらが降って来ましたよ。 何が始まるんです? 」 釈尊: 「いま映っていた妙音菩薩がこっちに来るんだよ。 」 [妙音菩薩の登場] 妙音菩薩が八万四千の菩薩とともに飛来する 妙音菩薩: 「こんにちは、釈尊。 浄華宿王智如来の世界からやって来ました。 」 華徳菩薩: 「いやはや釈尊、こりゃまたびっくりですよ。 妙音菩薩さんは、どうやってこんな神通力を身につけたのですか? 」 釈尊: 「妙音菩薩はこれまで多くの所で、多くの人々に仏法を説いてきたんだ。 その功徳でこんなに立派になったんだよ。 」 妙音菩薩は、菩薩仲間とともに楽しい時間を過ごして歓喜し、釈尊と多宝塔を供養した後、もとの世界へと帰っていった。 観世音菩薩普門品第二十五 (観音経) [無尽意菩薩の問い] 無尽意菩薩が観音菩薩を指さしながら釈尊に質問した。 無尽意菩薩: 「釈尊、私は同じ菩薩仲間として、観音菩薩さんを尊敬しています。 観音さんの名前の由来を教えてもらえませんか? 」 釈尊: 「"観音"っていうのは 「観世音」 の略でな、『世の中の人々 (世) の声 (音) をよく感じ取る (観)』 という意味なんだよ。 人が苦しんでいる時、観音菩薩の名を唱えれば、観音菩薩はその声をもれなくキャッチして、どんな状況からも救い出すことができるし、どんな願い事でも叶えることができるんだよ。 」 無尽意菩薩: 「どんな人でも救う・・・・、いったい観音さんはどのようにして、そんなことができるのですか? 」 釈尊: 「観音菩薩はすごい神通力を持っているんだよ。 あるときは仏、あるときは諸天善神、またある時は会社の上司や役人や友達、子ども、 場合によっては犬や猫の姿になって人を救うのさ。 」 [菩薩受旨] 無尽意菩薩: 「すごい! やっぱり観音さんはすごいなぁ。 観音さん、私の首飾りをあなたに供養します。 受け取ってください。 」 無尽意菩薩が首飾りを外して観音菩薩に渡そうとする。 観世音菩薩: 「いや、いらないよ。 」 無尽意菩薩: 「まぁ、そんなこと言わずに、受けってください。 」 釈尊: 「観音くん、もらっときなよ。 無尽意くんがかわいそうだろう。 」 観世音菩薩: 「そうですか、お師匠がそこまで言うなら・・・・・、そうだ! こうしましょう! 」 観音菩薩は首飾りを受け取り、ふたつにちぎって、一方を釈尊に、もう一方を多宝塔に供養した。 釈尊: 「無尽意くん、いまの見たかい? 観音くんってのはこういうやつなんだよ。 」 無尽意菩薩: 「はいっ、感動しました。 」 無尽意菩薩が観音菩薩を称える詩を披露する。 陀羅尼品第二十六 [薬王菩薩の陀羅尼] 薬王菩薩が釈尊に質問した。 薬王菩薩: 「釈尊、法華経を持った人の功徳って、やっぱりすごいんですよね。 」 釈尊: 「そうだよ。 何度言わせるのかね。 」 薬王菩薩: 「私は、法華経の行者がピンチになったときは、その人を守護すると誓います。 法華経の行者を災難から護る呪文を、私は持っているんです。 アヌェー、マヌェー、マネー、ママネー、チッテー、・・・・・ 」 薬王菩薩が43つの呪文を唱える。 釈尊: 「よしよし、エライぞ! 法華経の行者をしっかり護れよ! 」 [勇施菩薩の陀羅尼] 勇施菩薩: 「釈尊、私も呪文を持っているんです。 私もこれで法華経の行者を護ります。 ジュヴァレー、マハージュヴァレー、ウッケー、ムッケー、・・・・・ 」 勇施菩薩が13つの呪文を唱える。 釈尊: 「そうかそうか、お前もしっかり頼むぞ。 」 [毘沙門天と持国天の陀羅尼] 毘沙門天王: 「釈尊、私も呪文を持っているんです。 私もこれで法華経の行者を護ります。 アッテー、ナッテー、ヴァナッテー、アナデー、・・・・・ 」 毘沙門天王が6つの呪文を唱える。 持国天王: 「釈尊、私も呪文を持っているんです。 私もこれで法華経の行者を護ります。 ガネーガウリー、ガンダーリ・・・・・ 」 持国天王が9つの呪文を唱える。 [鬼子母神と十羅刹女たち] 鬼子母神と十羅刹女たち: 「釈尊、私たちも呪文を持っているんです。 私もこれで法華経の行者を護ります。 イティメー、イティメーン・・・・・ 」 鬼子母神と十羅刹女たちが19つの呪文を唱える。 鬼子母神と十羅刹女たち: 「もしも私達の守護に対抗して、法華経の行者をいじめ抜こうとするヤツがいたら、そいつは頭が7つに割れる災難にあうでしょう。 」 釈尊: 「よしよし、みんなエラいぞ。 法華経の行者を護ると誓ったからには、しっかりやれ、たのむぞ! 」 妙荘厳王本事品第二十七 [妙荘厳王] 釈尊: 「さて、最後に親子の因縁についての話をしよう。 ずぅっと昔、雲雷音宿王華智如来という長ったらしい名前の仏がいた。 その国には妙荘厳王という王様がいたが、仏法ではなくバラモン教に帰依していた。 しかしこの王の2人の子供たち (浄蔵、浄眼) は仏道修行をしており、父を折伏したいと思っていた。 子供たちは母 (浄徳) に相談したところ、母は力強く励ましてくれたので、子供たちは2人で父を折伏することにした。 2人の王子は王の前で神通力を披露して仏法の力をみせたところ、 王はびっくりして、自分も仏法をやってみたいと思うようになった。 王は雲雷音宿王華智如来のところへ行って法華経をきいて大歓喜し、 『わたしが仏道には入れたのは、2人の王子のおかげだ。 あの子たちは、私を仏法に導くために、私の子として生まれてきてくれたのだ。』 と雲雷音宿王華智如来に告白したというわけだ。 どうだ? 遠い昔の話だが、この話は、親子の因縁というものをよくあらわしているだろう。 この2人の子というのはな、実はここにいる薬王菩薩と薬上菩薩の過去世だ。 妙荘厳王は華徳菩薩、浄徳夫人は光照荘厳相菩薩の過去世だ。 あの時の因縁で、いま、ここで一緒に法華経を聞くことができているんだよ。」 普賢菩薩勧発品第二十八 [普賢菩薩の登場] いよいよ説法が終わるという時、東の方角から普賢菩薩が大勢の菩薩仲間とともに飛来する。 普賢菩薩: 「こんにちは、釈尊。 私は釈尊が法華経を説いていると聞きつけて、はるばるやってまいりました。 仏滅後に法華経をたもっていくためにはどのようにすればよいか、教えてください。 」 釈尊: 「そりゃ老若男女、それぞれの努力次第ということになるな。 」 普賢菩薩: 「そうですか。 ならば私は、法華経の行者の助けとなり、守護することを誓います。 私も、呪文を持っているんですよ。 アダンデー、ダンダパティ、ダンダヴァルタニ、ダンダクシャラ、・・・・・」 釈尊: 「そうか、よしよし。 」 普賢菩薩: 「法華経の行者が死を迎える時には、天女が壮麗な音楽を奏でる中、千の仏が手を引いて導いてくれるでしょう。 」 釈尊: 「よしよし。 お前は昔から法華経の行者をよく守護してきたからな。 これから500年間もたのむぞ。 お前が法華経の行者を守護する時には、私も一緒にその人を、謗りやチクリやあざけりから守護するとしよう。 」 これを聞いた聴衆たちは、みな大歓喜して、それぞれの持場へ戻って弘経を開始した。 |
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